第一期 表面硬化部材の疲労損傷研究部会

(1) 経緯
超寿命材料産学官研究会シンポジウムにおける参加者からのアンケート、懇談会、および個別企業へのヒアリングにより、会員企業が共通に持っている基盤的課題を分析した結果、金属疲労現象のメカニズム理解とそれに基づく寿命の改善が重要であることを抽出した。同時に、若手技術者の人材育成への期待が高いことも確認できた。これらを踏まえ、参加企業の皆様による議論を経て以下の考え方の下具体的な活動を開始した。当初15機関の参加であったが、最終的には20機関に増加した。当初の狙いを反映して、いずれの企業からも若手技術者に参加いただいている。

(2) 目的
各企業からの情報収集や意見交換を踏まえ、活動の目的を以下に通り設定した。
① 経験的知見に基礎的な理解を付加することによる研究開発への貢献
② 企業人材の育成への貢献
③ 異業種交流によるHuman Networkの構築への貢献

(3) 体制
梅澤教授を研究部会代表として、下記の二つのWGを設置した。
① 転動ピッチングWG 主査:YNU 梅澤 修
ギア系で面圧vs 破壊形態との関係の体系的把握とそのメカニズム解明
② 軸曲げねじりWG 主査:YNU 高橋宏治/神奈川産技センター 高木眞一
表面欠陥と硬質相の形状および分布形態が疲労強度に及ぼす影響の体系的把握とそのメカニズム解明

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(4) 参画機関
◇ 産 :材料:4社/輸送機器:6社/機械部品:2社/加工・評価:6社
◇ 学官 :富山大学、神奈川県産業技術センター、横浜国大
◇ 合計  21機関(本学を含む)

(5)基本的なアプローチ

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(6)主な検討内容
◇ 窒化材の疲労
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◇ 転動・ピッチング   
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(7)活動概要

本研究部会活動は、企業が抱える共通課題に対して有益と考えられる基礎的な理解を進めることを想定しており、いわゆるPre-Competetive領域の活動と位置づけ、知財的な契約は省略して活動を行ってきた。参画機関で実験、解析の役割を分担、平均して2~3カ月に一回のペースで会合を実施して進捗状況のチェックと実験結果に関する議論を進めた。

本活動を通じて、技術的に興味深い知見が得られ、そのうちいくつかは実用的にも有益なものであるが、現時点では未知の部分が多く、今後更に時間をかけて解析・追加実験を進める必要がある状況にある。成果については公開可能な範囲で下記の通り日本鉄鋼協会においてシンポジウムを開催して報告し、Openな議論の俎上に上げた。教育的視点では、若手の参画があり実験条件の設定、実験結果に関する議論、最終シンポジウムにおける発表等々の実践的な経験を積むことで、企業の若手人材育成に貢献できたものと考えている。

<成果報告会:「機械構造用鋼表面硬化部材の疲労損傷」シンポジウム>
第一期(平成24年~平成27年)の活動成果の報告会を下記にて開催し、100名を超す参加者があった。 ⇒ シンポジウム予稿集

日時  2016年3月23日 9:00~17:00
場所    東京理科大学葛飾キャンパス(日本鉄鋼協会春季講演大会内)
発表件数 (詳細はシンポジウム予稿集を参照)
- 軸曲げねじりWG 7件
- 転動ピッチングWG 11件

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